薬剤師の日々研鑽

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医学部へ学士編入した薬剤師が基礎的な内容と薬の関連について書いています。内容に関しては最新の情報を参照ください。

抗ヒスタミン薬 ビラノアとデザレックスの違い

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【目次】

ヒスタミン薬の分類

開発された歴史

第一世代:作用は強力だが中枢移行性も高い
第二世代:作用はマイルドで中枢移行性は低い

中枢移行性が高いと、覚醒に関与するヒスタミンの作用までもブロックしてしまうために、
眠気の副作用が出やすいほか、集中力や判断力が落ちるインペアード・パフォーマンスも引き起こします。
yakuzaishikensan.hatenablog.com

中枢移行性の指標 H1受容体占拠率

どれくらい中枢に移行しやすいかを測るために、脳内のH1受容体の占拠率で比較しているようです。
H1受容体拮抗作用のあるドキセピンを、11Cで標識して、そこから放出される陽電子をPET(陽電子放射断層撮影)で測定。

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「鎮静性抗ヒスタミン薬ー小児への処方は見直しをー 日経メディカル2008年2月号」より引用


・非鎮静性  :20%未満
・軽度鎮静性 :20~50%
・鎮静性   :50%以上


第一世代の眠気の副作用軽減を目指して第二世代が開発されており(血液脳関門を通過しにくいように、
親水性のカルボキシ基やアミノ基を導入している。)、
第二世代はおおよそ30%未満で収まっている。
例外もあって、第二世代のケトチフェンは第一世代よりも占拠率が高い。


ビラスチン

脳内ヒスタミンH1受容体占拠率への影響(BILA3111/PET)
健康成人(12例)を対象に、本剤20mg、ヒドロキシジンおよびプラセボを二重盲検、クロス オーバーでそれぞれ単回経口投与し、脳内ヒスタミンH1受容体占拠率を検討した結果、 本剤による大脳皮質のヒスタミンH1受容体の占拠は認めなかった。

デザレックスについてはデータなし。


ビラノアとデザレックスの違い

ビラノアは作用発現が早い

tmaxの平均値で見ると、
ビラノア:1時間
デザレックス:1.75時間

わずかにビラノアが早いが、これだけでは何も言えないので、
PubMedで検索すると、直接比較の文献が2報。アブストだけ見たので参考程度に。



Comparison of the efficacy and safety of bilastine 20 mg vs desloratadine 5 mg in seasonal allergic rhinitis patients. - PubMed - NCBI
12~70歳の季節性アレルギー性鼻炎患者を対象に、鼻症状(鼻閉・かゆみ・くしゃみ・鼻漏)と鼻以外の症状(目・耳のかゆみ・涙・赤み)をスコア化して、ビラスチン20mg・デスロラタジン5mg・プラセボで比較。

ビラスチンは、プラセボと比較してベースラインからのスコアを有意に低下させたが、デスロラタジンに対しては有意ではなかった。
ビラスチン(20.6%)、デスロラタジン(19.8%)、プラセボ(18.8%)の治療副作用の発生率は同様であった。


Comparative efficacy of bilastine, desloratadine and rupatadine in the suppression of wheal and flare response induced by intradermal histamine in ... - PubMed - NCBI
18~40歳の健常人24名を対象に、ヒスタミン皮下注による発赤や膨疹に対する抑制効果を、ビラスチン20mg・デスロラタジン5mg・ルパタジン10mgで比較。

〈膨疹に対して〉
ビラスチンは、投与1時間から12時間において、デスロラタジンおよびルパタジンよりも膨疹面積を抑制していた。
6時間で最大の膨疹抑制が起こった(ビラスチン83%、デスロラタジン38%、ルパタジン37%)。
作用発現は、ビラスチンは1時間であり、デスロラタジンおよびルパタジンについては4時間であった。

〈発赤に対して〉
ビラスチンは、投与1〜24時間において、デスロラタジンおよびルパタジンと比較して発赤を抑制しており、30分で作用発現を示した
かゆみの軽減においても、ビラスチンはデスロラタジン(2~12時間)およびルパタジン(2~9時間)より有意に良好であった。
デスロラタジンもルパタジンも、プラセボと比較してかゆみを有意に減少させなかった。



ビラノアは空腹時服用

健康成人男性20例を対象に空腹時または高脂肪食(900kcal以上で、総エネルギーに対する脂質の占める割合が35%以上)後に本剤20mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に比べ食後投与時のAUC0-tは1283.53ng・hr/mLから770.59ng・hr/mLへ約40%、Cmaxは 277.86ng/mLから120.18ng/mLへ約60%低下し、tmaxは1.03時間から3.03時間に延長したこと から、本剤の経口投与では食事の影響を受け、バイオアベイラビリティが有意に低下することが 確認された(食後投与の空腹時投与に対する幾何平均値の比の90%CI、AUC0-t : 0.5574~ 0.6839、Cmax : 0.3665~0.5669)。

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ビラノア インタビューフォームより引用

ヒスタミンと競合するために、ヒスチジンに類似した構造をとっている。
弱塩基のベンズイミダゾール骨格と、酸性のカルボキシ基を持つため、酸性薬物と考えられる。

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pkaも2つ出ていることから、アミノ酸のように両性イオンとして働くと推測される。
pkaからすると酸性薬物と思われる。

〈pH分配仮説〉
通常、空腹時には胃内pHは1~2だが、食後だとpHは4~5まで上昇する。
塩基性薬物は、空腹時の低いpHではイオン型薬物の割合が多く、消化管の細胞膜を通って吸収されやすい。
食後ではイオン型の割合が増加し、吸収率が低下してしまう。


しかし、グラフを見ると、pH4~5付近では分配係数は2となっており、脂溶性が高くなっている。
これなら食後の方が吸収がよくなるはずであり、矛盾している。
つまり、pH分配仮説に従っていないため、小腸からの吸収がメインだと考えられる。
・胃からの吸収は、pH分配仮説に従う。
・小腸からの吸収は、非攪拌水層と、膜透過の2段階になっている。


使い勝手

空腹時のタイミングを守れるのであればビラノアがいち早く症状を抑制してくれる。
併用薬があって守れそうにないならデザレックスが無難。


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