薬剤師の日々研鑽

薬剤師の日々研鑽

医学部へ学士編入した薬剤師が基礎的な内容と薬の関連について書いています。内容に関しては最新の情報を参照ください。

B型肝炎ウイルスとマーカー

【目次】

B型肝炎ウイルスHBVの構造とマーカーの意義

HBVの構造は、内側から不完全二本鎖ゲノムDNA→コア(C)→カプシド→エンベロープ(E)→スパイクタンパク質(S)
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HBs抗原は一番外側のスパイクタンパク質で、これが検出されるということは現在の感染を表す。

HBsの抗体が出現しているなら、過去の感染を意味する。

HBe抗原はエンベロープで、リン脂質であるため大量に合成されると細胞外へ流出しやすい。多いということは感染性が強いことを表す。

HBe抗体が産生されると、感染性が弱いことを示す。

HBc抗原はコア(カプシドの内側のタンパク質)タンパク質で、外側のエンベロープを除去する処理をしないと基本的には検出されない。IgMHBc抗体が検出されたということは、感染初期、低いなら過去の感染といえる。

HBVの生活環

元々ゲノムDNAは不完全で、プラス鎖だけが短い状態。宿主細胞のポリメラーゼで伸長して完成させる。そして転写してタンパク質へ翻訳する。その時にHBs抗原、HBc抗原、HBe抗原、逆転写酵素ができる。面白いことに、
ゲノムDNA→mRNA→ゲノムDNAと複製していく。マイナス鎖DNAを鋳型にして、(プラス鎖)mRNA を転写し、そこからマイナス鎖DNAを合成している。
この二度手間には意味があって、再現性の低い逆転写酵素を使うことで変異が起こりやすく、宿主の免疫機構から逃れやすいメリットが1つ。また、逆転写でできたゲノムDNAを宿主細胞のゲノムDNAにインテグラーゼで組み込むことで、すぐにウイルス粒子を作るために使える他、休眠状態として免疫機構を逃れるのにも使える。組み込まれると体内から完全に排除するのが難しくなっている。