薬剤師の日々研鑽

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細胞接着因子と薬

細胞接着因子

セレクチン:糖鎖をリガンドとして細胞を接着する。白血球表面の糖鎖であるSLXと結合して、白血球のローリング(血管に結合して回転する過程)に関与。

ちなみに、SLXもCA19-9も糖鎖の腫瘍マーカー。つまり癌の浸潤にも関与しており、シメチジン投与によりEセレクチンの発現が低下し、術後再発率低下のデータもある。

 

インテグリン(αLβ2、LFA-1):integrate(統合する)という英語の通り、異なる細胞同士を接着する。結合相手は免疫グロブリンスーパーファミリー(I-CAMなど)。

免疫応答の抗原提示の際にも、MHCクラスⅡ分子以外の共刺激因子として関与している。共刺激因子としては、抗原提示細胞(APC)側のインテグリンリガンドであるCD86、その受容体のT細胞側にあるCD28がある。

抗原提示細胞側のCD40、T細胞側リガンドのCD154(CD40L)。

@樹状細胞はCD86の発現量が多く、抗原提示しやすい。

 

免疫グロブリンスーパーファミリー:I-CAMなどは、インテグリンと結合し、白血球の遊走に関与している。なかでも、CD54はライノウイルスの受容体として感染に関与している。

@エリスロマイシンの長期投与によってI-CAMの発現が低下し、感染リスクが低下する報告あり。

 

免疫調節機構

過剰な免疫反応は炎症を持続させてしまうため、免疫を抑制するための機構も備えている。がん細胞はそれを利用して細胞免疫を逃れている。

CTLA-4(Cytotoxic T-lymphocyte antigen-4):T細胞に発現しており、CD28と類似しているため、APC表面のリガンドCD80(B7-1)や CD86(B7-2)と相互作用して、共刺激を抑制することで、T細胞活性化を抑制する。本来は刺激された後に発現して過度な活性化を抑える役割を担っている。 イピリムマブは抗CTLA4抗体。 

 

PD-L1(Programmed cell-Death Ligand 1):通常では、正常な組織に発現しており自己免疫反応をしないように働いている。がん細胞もこれを発現し、免疫細胞であるT細胞のPD-1と結合して免疫細胞の攻撃を免れている。 ニボルマブは、抗PD-1抗体であり、癌が免疫から逃れるためのチェックポイント・シグナルPD-1を抑制することにより、リンパ球による癌への攻撃を促進する。