薬剤師の日々研鑽

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医学部へ学士編入した薬剤師が基礎的な内容と薬の関連について書いています。内容に関しては最新の情報を参照ください。

アセトアミノフェン(カロナール)の作用機序・肝障害と薬物動態

アセトアミノフェンカロナール)は頻繁に用いられる薬剤ですが、臨床で注意すべきポイントをまとめました。


【目次】

アセトアミノフェンの作用機序

作用機序は、視床下部の体温調節中枢にてCOXを阻害⇒PGE2産生を抑制⇒セットポイントを下げ熱放散を増大させ解熱作用を示す。
視床と大脳皮質の痛覚閾値の上昇させ鎮痛作用を示す。
また、末梢におけるCOX-1阻害作用は極めて弱いため抗炎症作用はほとんどない。

物理化学的性質

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アセトアミノフェンは、フェノールにアセチル化されたアミノ基が付いてると見ることができる。フェノールなので酸性薬物。

pKaは9.5
比較のために他の物質のpKaも載せておく。
H2O:15.7
CH3COOH:4.76
HCl:-8.0

酸性薬物であるため、pHが1〜2の胃ではほとんどが分子形であり、胃からも吸収が始まる。

炭水化物が多い食事と一緒に服用すると、複合体を形成して吸収速度が遅くなるため薬効発現が遅れる。

薬物動態から見た有効性

風邪などの疾患で解熱鎮痛剤として用いられるが、用量と薬物動態から有効性をチェック。

癌性疼痛で継続されることもあるが、保険薬局では基本的に頓服として処方されるため、単回投与で検討。
最高血中濃度は、

Cmax=F*Dose/Vd
で表される。F:バイオアベイラビリティ、Dose:投与量、Vd:分布容積
インタビューフォームより、F=90%、Vd=0.96L/kg、有効血中濃度=5~20μg/mL

ここで60kgの患者にカロナール500mgを1錠というよくある処方で計算してみると、
Cmax=0.9*500mg/(0.96L/kg*60kg)=7.81mg/L=7.81μg/mL

有効血中濃度の範囲内であり効果があると思われる。
これは添付文書の用量通りであればほとんど有効濃度域に入る。



肝障害の機序

アセトアミノフェンはCOX-1に対する阻害作用が非常に弱く、そのため胃腸障害や腎障害などの副作用が少ない。一方で、肝障害の副作用の恐れがある。

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アセトアミノフェンの90%以上がグルクロン酸抱合、硫酸抱合により代謝され、一部
はCYP2E1等により代謝され、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)を生成する。通常量ではNAPQIはグルタチオン抱合を受け代謝され、メルカプツール酸やシステインになって排泄される。グルタチオンが不足または枯渇するとNAPQIが蓄積し、肝細胞毒性を示し、肝障害が起こる。


危険因子

アルコール多飲⇒CYP2E1誘導⇒NAPQI増加

アセトアミノフェン過量服用⇒グルクロン酸や硫酸抱合が飽和⇒CYP2E1経路へ流れる⇒NAPQI増加

低栄養⇒グルタチオン構成アミノ酸グルタミン酸システイングリシン)の不足⇒NAPQI増加

肝疾患⇒グルタチオン不足⇒NAPQI増加


肝障害の投与量

成人では、10~15g(150~250mg/kg)のアセトアミノフェンを一度に内服すると肝毒性が起こり、20~25gまたはそれ以上では致命的になる可能性がある。
別の文献では、アセトアミノフェン摂取4時間後の血中濃度が 300μg/mL を越えるとき激しい肝障害を生じるが、120μg/mL 以下ならば生じないとされている。

先ほどのCmaxで検討してみると、血中濃度120μg/mLというのは、体重60kgの人にとっての7680mgとなる。500mg錠でも1度に15錠以上服用しなければ問題ないとされる。


解毒剤

アセトアミノフェン中毒の治療には、N-アセチルシステインを用いる。
抗酸化作用を持ち、またグルタチオンの前駆体であり肝細胞内でグルタチオンへ変換される。
アセトアミノフェン過量服用後8時間以内(毒性のあるNAPQIに代謝されてグルタチオンが枯渇するまで)に投与すると効果的。
静脈注射の製剤は日本にはないため経口投与(ムコフィリン)。
yakuzaishikensan.hatenablog.com


アスピリン喘息

NSAIDsに対する過敏症で、喘息や鼻症状が成人で発症した喘息患者の1割に見られる。鼻茸がある患者に多い。
アスピリンだけに見られる過敏症ではないことに注意!
機序はCOX-1阻害のためアラキドン酸の代謝がLOX経路を介してロイコトリエン(LT)の産生に傾き、LT作用である気道収縮、血管透過性亢進(鼻汁産生)が関与する。
アスピリン喘息既往患者がどうしてもNSAIDsを使用しなければならない場合には、COX-1阻害作用の小さいCOX-2選択的阻害薬かアセトアミノフェンを低用量で用いる。類薬であるためどちらも添付文書上では禁忌になっている。そのままだと疑義が来るので処方箋備考欄に要コメント。


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参考文献

カロナール錠インタビューフォーム
・浦部晶夫/島田和幸/川合眞一(2016) 今日の治療薬2016 南江堂
・松澤 忍(2008) 患者とくすりがみえる 薬局薬物動態学 南山堂