薬剤師の日々研鑽

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鎮痛剤NSAIDsの作用機序と免疫

鎮痛剤は使用頻度が高いですが、どう効くのか、何を知っておくべきなのかまとめてみました。



【目次】

ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の作用機序はご存知の通りシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害によるプロスタグランジン(PG)の産生抑制によるもの。

PGの作用

①発痛作用

PG自体に発痛作用はないが、視床や大脳皮質の痛覚閾値を低下させる。ブラジキニンの発痛を増強する。

②発熱作用

PGE2は体温調節中枢である視床下部でセットポイントを上昇させる。上昇させるために血管を締めて熱放散を抑制。筋肉収縮にて熱産生を行う。

③催炎症作用

PGE2やPGI2はPG受容体⇒Gsタンパク活性化⇒AC活性化⇒cAMP上昇⇒PKA⇒血管平滑筋弛緩⇒血管拡張⇒血管透過性を亢進して炎症を惹起する。
Gタンパク質共役型受容体のゴロはこちら。yakuzaishikensan.hatenablog.com


①と②は中枢作用、③は末梢作用。
これらPGの産生を阻害することでNSAIDsは鎮痛・解熱・抗炎症作用を示す。



アセトアミノフェンは主に中枢のCOXを阻害するため抗炎症作用はない。COX-1阻害作用は弱く中枢作用のみ。


アスピリン(アセチルサリチル酸)は血小板のCOXをアセチル化⇒TXA2産生を抑制して抗血小板作用を有するが、高用量では血管内皮細胞のCOX阻害⇒PGI2産生まで抑制することで抗血小板作用が減弱してしまう(アスピリンジレンマ)。
アセチル化が不可逆的であり、核がない血小板ではタンパク合成が出来ず寿命が終わるまで阻害作用が続く。他のNSAIDsは可逆的なため抗血小板作用は持たない。

免疫との関わり

自然免疫において、マスト細胞やマクロファージ、樹状細胞が体内をパトロールしているが、細菌や異物などの侵入をToll様受容体で感知すると、炎症サイトカインであるTNFαやIL-1やIL-6を産生する。炎症サイトカインはBBBを通過出来ないため、周辺の細胞膜へ作用し、ホスホリパーゼA2を活性化させ、アラキドン酸カスケードを介してPGE2を産生し、視床下部でのセットポイントを上昇させ発熱を引き起こす。

発熱することで免疫細胞の活性化を図り治癒を促進しているため、迂闊な解熱は治療の妨げになる。