薬剤師の日々研鑽

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Gタンパク質共役型受容体ゴロとシグナル伝達

薬剤師国家試験でも問われる生物の基礎部分で、かつ薬理や薬物治療にも関係してくるGタンパク質共役型受容体。
しかしどのアゴニストがどのGタンパクと共役してるのかなかなか覚えにくいですよね。ゴロを紹介します。
暗記するだけでは今後の国家試験に対応できないので、その下流のシグナル伝達と生理学までざっくりやりましょう。そうすると本番で忘れてしまっても思い出しやすくなります。
イメージによるこじつけの部分もありますがご了承ください…


【目次】

Gタンパク質

Gタンパク質は、α、β、γの3つのサブユニットから構成されてます。
そのうち、Gαタンパク質のみがグアノシン二リン酸(GDP)やグアノシン三リン酸(GTP)と結合できます。

GTPと結合したGαタンパク質は活性型で、GDPと結合したGαタンパク質は不活性型です。

いつまでも活性型でいると過剰な反応が起こってしまうので、Gαタンパク質にはGTPGDPへ分解する能力が備わっています。(GTPase活性)

リガンドが結合するとGDPGTPと交換して活性型となります。活性型となったGαは、Gβγと解離して、次の効果器へシグナルを伝達します。

Gαには、Gαs、Gαi、Gαq、Gαt、Gαolfなどの種類があり、それぞれ作用が異なります。中でも薬に関与するのはGαs、Gαi、Gαqで、国家試験で問われるところです。以下は全てGαタンパク質なのでαを省略します。

【Gsタンパク質共役型受容体】

じーさん ベタベタ エッチに アイツ ダイスキ 兄も グル

じーさん=Gsタンパク
ベタベタ=β1受容体、β2受容体
エッチに=H2受容体
アイツ=PGI2受容体
ダイスキ=D1受容体
兄=A2受容体(アデノシン受容体)
グル=グルカゴン受容体

+@Gsタンパク質共役型受容体のシグナル伝達
じーさん⇒が悪いイメージ
=(ACアデニル酸シクラーゼ
Gsのsはstimulate刺激の意味なので、アデニル酸シクラーゼ活性化
シクラーゼはcyclase(環状にする酵素)なのでそれによりATPがcAMP(サイクリック)つまり環状のAMPへ変換されます。
cAMPはPKAを活性化し、PKAが種々のタンパク質をリン酸化。

心筋では、β1→Gs→AC→cAMP→PKA→細胞膜や筋小胞体のCa2+チャネルリン酸化による開口→細胞質へのCa2+流入増量→心筋収縮力増強


平滑筋では、β2→Gs→AC→cAMP→PKA→ミオシン軽鎖キナーゼリン酸化による活性低下→ミオシン不活性状態→平滑筋弛緩
PKAによりミオシン軽鎖キナーゼがリン酸化され、本来のキナーゼの役割である、ミオシンのリン酸化が行えず、ミオシンとアクチンの滑り運動が起こらないために平滑筋の筋弛緩が起こります。

ちなみに、β刺激薬が低カリウム血症を引き起こす機序は、β刺激→AC→cAMP→PKA→Na+,K+-ATPase活性化⇒カリウム取り込み亢進によるものです。


胃では、PKAがプロトンポンプ(H+,K+-ATPase)を活性化するため、胃内腔へのプロトン放出が促進されて胃酸分泌が亢進します。


膵臓のα(A)細胞では、グルカゴンやアドレナリン・ノルアドレナリンが反応して、PKA活性化→グリコーゲンホスホリラーゼキナーゼ活性化→グリコーゲンホスホリラーゼ活性化→グリコーゲンよりグルコース一リン酸が切り出される→肝臓でグルコースー6ホスファターゼでグルコースへ変換⇒血糖値上昇。

【Giタンパク質共役型受容体】

あい は まだまだ(MαD×2) がんばるべー

アイ=Giタンパク
まだまだ=M2受容体、α2受容体、D2受容体
がんばるべー=GABAB受容体

+@Giタンパク質共役型受容体のシグナル伝達
Giのiはinhibit(抑制)の意味。アデニル酸シクラーゼを抑制するためGsタンパクのシグナル伝達とは逆の作用を持ちます。

Giタンパクは少し特殊で、おおよそ中枢神経に発現しているものと考えた方がわかりやすいです。
例えばα2受容体は、ほかのサブタイプもありますが、ほとんどは中枢神経のシナプス前終末(神経伝達物質を分泌する側の軸索末端)に発現しています。自ら分泌した神経伝達物質を認識する自己受容体であるため、その量を調節するフィードバックに関与しています。神経終末のノルアドレナリン濃度が高すぎると、

α2刺激→Gi→AC活性低下→cAMP産生低下→チロシンからドパミンへの変換酵素チロシンヒドロキシラーゼ)活性低下→ノルアドレナリン産生低下→ノルアドレナリンがα1受容体に作用せず血圧低下



GABA B受容体も脳に広く分布している受容体ですが、Cl-イオンチャネルであるGABA A受容体とは異なり、Gタンパクを介して作用します。GABA神経のシナプス前終末もまた自己受容体であり、GABA濃度が高すぎると、

GABA B刺激→Gi→Ca2+チャネル抑制→GABAのエキソサイトーシス(分泌)を抑制



M2受容体は心筋に存在します。
Gi→K+チャネル開口→K+流出→心房筋過分極→活動電位が発生しにくくなる⇒心拍低下

抗コリン薬のアトロピンは、受容体遮断により心拍上昇させるため徐脈の治療薬として用いられます。

【Gq/11タンパク質共役型受容体】

アイ マイ ミー ハイ あたい たくじ キュートでしょ

アイ=α1受容体
マイ=M1受容体
ミー=M3受容体
ハイ=H1受容体
あたい=AT1受容体
たくじ=TXA2受容体
キュート=Gqタンパク

+@Gqタンパク質共役型受容体のシグナル伝達
キュート(Gq/11)なオカマのたくじは、ぷるぷるなくちびる(PLC)ホスホリパーゼCが欲しいイメージ。
PLCはPIP2(ホスファチジルイノシトール2リン酸)を分解します。
f:id:yashiki5296:20170119023908p:plain
図はPIP2を表していて、赤いはさみはPLCが切断する部位です。これによりジアシルグリセロール(DAG)と
イノシトール3リン酸(IP3)へ分解されます。
平滑筋においては、DAGはPKCを活性化させ、筋収縮。
IP3は筋小胞体からCa2+の遊離を促進、Caがカルモジュリンと結合して複合体を形成し、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化し、ミオシンがリン酸化され、ミオシン軽鎖がアクチンをたぐり寄せ、その結果平滑筋の収縮が起こります。


平滑筋の収縮メカニズムについてはyakuzaishikensan.hatenablog.com

それぞれの受容体に作用する物質とその効果が結びつけられると実践的です。同じGqタンパクなのにα1は血管収縮で、M3は血管弛緩の理由
yakuzaishikensan.hatenablog.com

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