薬剤師の日々研鑽

薬剤師の日々研鑽

医学部へ学士編入した薬剤師が基礎的な内容と薬の関連について書いています。内容に関しては最新の情報を参照ください。

ループ系とチアジド系利尿薬の違い

日常業務でよく目にするループ系とチアジド系。どんな性質の違い、どんな使い分けがあるのか再度学習しました。

【目次】 

 

 

各部位のナトリウム(Na+)再吸収の割合

近位尿細管で約70%、ヘンレ係蹄(ループ)で約15%、遠位尿細管で約7~10%、集合管で残りの2~3%とされています。水はNa+とほぼ同じ動きをします。

 

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                                       Adalat.jpより引用

ループ系

・強い利尿作用

ヘンレループ上行脚のNa+/K+/2Cl-共輸送体に働くループは、高度にNa再吸収を抑制(最大で約25%)し、強い利尿作用を持つ。フロセミド(商品名ラシックス)は、その商品名の由来通り、Lasting for six hoursと6時間ほどしか効果時間がないため降圧薬としては不向き。心不全の前負荷軽減や、浮腫などの改善に用いられる。

・K+低下しやすい

ループ上行脚でNa+/K+/2Cl-共輸送体を阻害すると、そもそもNa+とK+の排泄が増加する(ループに特異的)。それに加えて、増加したNa+が集合管の上皮細胞のNa+チャネルを通じて再吸収され、電位を維持するためにK+を代わりに排泄されるため、低カリウムとなりやすい(ここはチアジドも共通)。

・腎機能低下例でも使いやすい

プロスタグランジン産生を促進し腎血流維持に働くため、腎機能低下例でも使いやすい。継続するとチアジドの作用部位であるNa+ /Cl-共輸送体の発現が上昇し、薬効が低下してくるため、その際にはチアジド系の併用が望ましい。

 

チアジド系

・弱い利尿作用

遠位尿細管のNa+/Cl-共輸送体に働くチアジドは、Na+再吸収を抑制する。しかし、遠位尿細管からの再吸収は寄与率が低いため(約7~10%)、利尿作用は弱い。ループと違って作用時間は長いため、降圧薬として用いられる。

 

・Na+低下しやすい

作用部位(遠位尿細管)より後ろではNa+再吸収の割合が低いため、チアジドによるNa+排泄亢進の代償が働きにくい。

 

・高度腎機能低下例では無効

プロスタグランジン産生には関与せず、循環血漿量を低下させるため腎機能低下を引き起こす。また、高度腎機能低下(eGFR:30 mL/min以下)では薬剤が作用部位まで到達しにくいことと、そもそもNa+の排泄自体が低下していることから効果が出にくく使いにくい。Na再吸収を阻害することで、遠位尿細管に存在するNa+/Ca2+交換系も阻害し、Ca2+の再吸収を亢進するため、骨粗鬆症患者に用いやすい。

 

 

・少量で用いる

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                厚生労働省 第1回降圧利尿薬に関する検討会 資料より引用

 

用量依存的に降圧効果は上昇していくが(赤線)、その傾きは小さく、通常用量以上では、副作用発現頻度の上昇の傾きが上回る(白線)。高用量では低カリウム血症が出現しやすい。

 

 

利尿薬が代謝異常を引き起こすひとつのメカニズム

インスリンが細胞へ作用しGLUT4を介して糖を取り込む際にはK+も細胞内へ共輸送されるが、低カリウム血症ではカリウム不足のためにGLUT4の働きが抑制されるため、細胞内へ糖が取り込まれず高血糖となりやすい。そのため少量で用いられるのが主流となっている(K+貯留傾向のあるARBとタッグを組みやすく、少量の配合剤が販売されている)。

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