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薬剤師の日々研鑽

薬剤師が基礎的な内容と薬の関連について書いています。内容に関しては最新の情報を参照ください。

グリメピリドとグリクラジドの違い

 

92歳の高齢女性が心筋梗塞をきっかけにグリメピリドからグリクラジドへ変更になっていた症例を経験したため、理由を調べてみました。

 

【薬物動態】

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「症例から学ぶSOAPワークブック:薬剤師が行う薬物治療マネジメント」より引用

 

どちらも尿中未変化体排泄率は0%であり、腎排泄型ではない。

更に細かくみていくと、グリクラジドは活性代謝物がないのに対して、

グリメピリドは活性代謝物が存在し、かつその活性代謝物の排泄経路に腎が大きく関与している。本症例は腎機能が28mL/minと高度に低下しているため遷延性低血糖回避のためにもグリクラジド選択が妥当と思われる。

 

【構造式】

グリメピリド:ベンズアミド類似構造を持つためSU受容体(SUR)のSU結合部位だけではなくベンズアミド結合部位とも結合する。

⇒SUR非選択的

 

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アマリール 添付文書より引用

 

 

グリクラジド:ベンズアミド構造を持たず、SUR2AやSUR2Bとは結合しづらい。⇒SUR1に対する選択性が高い。(Neuron 16:1011-1017, 1996)

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グリミクロン 添付文書より引用

 

<SURのサブタイプとその分布>

SUR1   (SU結合部位+ベンズアミド結合部位を持つ):膵臓β細胞

SUR2A(ベンズアミド結合部位のみ持つ)          :心筋細胞

SUR2B(ベンズアミド結合部位のみ持つ)        :血管平滑筋細胞

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月刊糖尿病 2015/2 Vol.7 No.2より引用

 

心筋細胞に分布するSUR2Aへ作用することは、虚血プレコンディショニング(一度虚血状態を経験することで、心筋梗塞を起こした際の梗塞部位を少なくするという虚血耐性)を阻害し心筋保護作用を減弱してしまうことが懸念されている。

 

そのためSUR1への選択性の高いグリクラジドが心血管疾患を合併した患者に使いやすいという点があるのかもしれない。

 

実際に文献を調べてみると、グリメピリドはSUR2Aには作用せず、虚血プレコンディショニングを阻害しないものの、心血管系の死亡がグリベンクラミド同様に有意に多いという報告も見られた(Eur Heart J. 2011;32(15):1900-8)。 

 

以上の2つの観点からグリメピリドからグリクラジドへ変更されたと考えられます。

薬局薬剤師は専門性を持たず、どの診療科の薬剤に対しても知識を持っていることが重要ですが、こうした専門医の深い知識には頭が下がります。負けじと努力を続けたいと思います。

 

参考文献

・高橋晴美,緒方宏泰,越前宏俊『症例から学ぶSOAPワークブック』じほう,2004

・岩岡秀明,栗林伸一,『糖尿病診療ハンドブックver2』中外医学社,2015 

 

 

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http://ir.library.tohoku.ac.jp/re/bitstream/10097/40208/1/YANAGISAWA-Teruyuki-01-09-0015.pdf