読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薬剤師の日々研鑽

薬局薬剤師が日々学んだことについて書いてます。内容に関しては最新の情報を参照ください。

イナビル、タミフル、リレンザ、ラピアクタ、シンメトレルの違いと作用機序

まだまだインフルエンザのシーズンですが、その薬にはいろいろな種類があります。

インフルエンザの感染経路とメカニズム

f:id:yashiki5296:20170127075118p:plain

神奈川県衛生研究所より引用

飛沫感染:感染した人のくしゃみや咳のしぶき(飛沫)が鼻や口から侵入。
接触感染:感染した人が触ったものを介して鼻や口から感染。

インフルエンザウイルスは表面の赤血球凝集素(ヘマグルチニン:HA)を、上気道の上皮細胞表面にあるシアル酸へ結合させて細胞内へ侵入(感染)していく。侵入後は脱殻し、核内でRNAの複製と、カプシドやエンベロープなどのウイルスの外側を構成するタンパクを合成させ、ウイルスを組み立てて、まだ感染していない細胞へ移動するため細胞から出ていく(出芽)。このとき、再び細胞表面でHAとシアル酸がくっついてしまい、細胞から離れられなくなるのを防ぐためノイラミニダーゼ(NA)で結合を切る必要がある。

発症から48時間経過すると、この感染のサイクルが非感染細胞まで伝播してしまい、増殖抑制の意味が無くなるため、48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬を服用する。

イナビル、タミフルリレンザラピアクタシンメトレルの違いと作用機序

いずれの薬剤もNAを阻害して感染した細胞からウイルスを離れられなくすることで感染の拡大を防ぐ。
感染している細胞は細胞免疫によって排除される。

・イナビル
1回の吸入で服薬は終了。デバイスの操作が簡単。⇒理解力の低い小児やかなりの高齢者


リレンザ
1日2回吸入を5日間継続。デバイスの操作も少し手間。⇒イナビルより少し年齢が上の小児、少し下の高齢者


タミフル
1日2回内服を5日間継続。⇒咳症状や肺炎などがあり吸入が難しい患者。既に1日2回以上の別の内服薬があり飲み忘れにくい患者。


ラピアクタ
1日1回15分以上かけて点滴。⇒かなり重症で吸入や内服が難しい患者。

異常行動

インフルエンザによる高熱や解熱剤が原因で起こっている可能性もあるために因果関係ははっきりしていない。そのリスクを回避するためにも発症から2日は看病する。

出席停止

発熱を0日として、解熱後2日間は感染拡大を予防するため出席停止。

冷えピタ 子供用 冷却シート 増量 16枚(12 4枚)【楽天24】[ライオン 冷えピタ 冷却シート 子供用]【nor_10】

価格:395円
(2017/1/27 08:57時点)
感想(4件)

ムコダイン、ムコソルバン、ビソルボン(去痰薬)の作用機序と使い分け

風邪のシーズンには毎日のように去痰薬が出ます。ムコダインムコソルバン、ビソルボン。それらの違いはどこにあるのかまとめてみました。

構造式と作用機序

f:id:yashiki5296:20170127055304p:plain

・アセチルシステイン(ムコフィリン®)はシステインのアミノ基がアセチル化された構造を持つ。SH基を持つため、ムコタンパクのジスルフィド結合(-S-S-)を切断して痰の粘度を下げる。基本的に単独では使用せず、気道拡張のメプチンと併用して吸入することが多い。


・カルボシステインムコダイン®)はシステインの硫黄元素に-COOH(カルボキシ基)が結合しているために、-SH(チオール基)がなく杯細胞の過形成を抑制して分泌細胞正常化する。シアル酸とフコースの割合を正常化させて気道粘膜修復を行う


・アンブロキソール(ムコソルバン®)
構造に臭素(ブロモ)が入っている。肺表面活性物質(肺サーファクタント)分泌の促進と線毛運動亢進。


ブロムヘキシン(ビソルボン®)
こちらも構造に臭素(ブロモ)を含む。アンブロキソールの作用に加え、酸性糖蛋白の線維を溶解
肺サーファクタント分泌の促進と線毛運動亢進。

使い分け

喀痰の量が多い⇒ムコダイン
急性期で痰のキレが悪い⇒ムコフィリン
慢性的に痰のキレが悪い⇒ビソルボン OR ムコソルバン(1日1回の徐放製剤があるため負担軽くするならムコソルバン

インフルエンザとの関連

ムコタンパク=ムコ多糖+タンパク
ムコ多糖=シアル酸やフコースなどの糖
インフルエンザウイルスはウイルス表面のヘマグルチニンを、ヒト気道上皮細胞表面のシアル酸へ結合させて感染を行う。
カルボシステインムコダイン®)はシアル酸とフコースの割合を正常な状態へ是正することで作用を発揮するが、喘息やCOPD患者においてインフルエンザ罹患率を下げるというデータがあった。その背景にはウイルスレセプターであるシアル酸を減少させることが関与しているかもしれない。
Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2010 Aug;299(2):L160-8

参考文献

・各種添付文書
・倉原 優(2014) 呼吸器の薬の考え方、使い方 中外医学社


細胞接着因子と薬

細胞接着因子

セレクチン:糖鎖をリガンドとして細胞を接着する。白血球表面の糖鎖であるSLXと結合して、白血球のローリング(血管に結合して回転する過程)に関与。

ちなみに、SLXもCA19-9も糖鎖の腫瘍マーカー。つまり癌の浸潤にも関与しており、シメチジン投与によりEセレクチンの発現が低下し、術後再発率低下のデータもある。

 

インテグリン:(αLβ2、LFA-1)異なる細胞同士を接着する。結合相手は免疫グロブリンスーパーファミリー(ICAMなど)。免疫の抗原提示の際、MHCクラスⅡ分子以外の共刺激因子として関与している。共刺激因子としては、抗原提示細胞(APC)側のインテグリンリガンドであるCD86、その受容体のT細胞側にあるCD28がある。

抗原提示細胞側のCD40、T細胞側リガンドのCD154(CD40L)。

@樹状細胞はCD86の発現量が多く、抗原提示しやすい。

T細胞に発現するCTLA-4(Cytotoxic T-lymphocyte antigen-4)は、CD28と類似しているため、APC表面のリガンドCD80[B7-1]や CD86[B7-2]と相互作用して、共刺激を抑制して、T細胞活性化を抑制する。本来は刺激された後に発現して過度な活性化を抑える役割を担っている。 イピリムマブは抗CTLA4抗体。 

 

 

免疫グロブリンスーパーファミリー:ICAMなどは、インテグリンと結合し、白血球の遊走に関与したり、CD54はライノウイルスのウイルス受容体として感染に関与している。

@エリスロマイシンの長期投与によってICAMの発現が低下し、感染リスクが低下する報告あり。

 

悪性腫瘍には、免疫システムから逃れるための仕組みを持つものがある。癌細胞は細胞表面にPD-L1を発現しており、免疫細胞であるT細胞のPD-1と結合して免疫細胞の攻撃を免れている。 ニボルマブは、抗PD-1抗体であり、癌が免疫から逃れるためのチェックポイント・シグナルPD-1を抑制することにより、リンパ球による癌への攻撃を促進する。

アセトアミノフェン(カロナール)の作用機序・肝障害と薬物動態

アセトアミノフェンカロナール)は頻繁に用いられる薬剤ですが、臨床で注意すべきポイントをまとめました。

アセトアミノフェンの作用機序

作用機序は、視床下部の体温調節中枢にてCOXを阻害⇒PGE2産生を抑制⇒セットポイントを下げ熱放散を増大させ解熱作用を示す。
視床と大脳皮質の痛覚閾値の上昇させ鎮痛作用を示す。
また、末梢におけるCOX-1阻害作用は極めて弱いため抗炎症作用はほとんどない。

薬物動態から見た有効性

風邪などの疾患で解熱鎮痛剤として用いられるが、用量と薬物動態から有効性をチェック
基本的に頓服として処方されるため、単回投与で検討。
最高血中濃度は、

Cmax=F*Dose/Vd
で表される。F:バイアベイラビリティ、Dose:投与量、Vd:分布容積
インタビューフォームより、F=90%、Vd=0.96L/kg、有効血中濃度=5~20μg/mL

ここで60kgの患者にカロナール500mgを1錠というよくある処方で計算してみると、
Cmax=0.9*500mg/(0.96L/kg*60kg)=7.81mg/L=7.81μg/mL

有効血中濃度の範囲内であり効果があると思われる。
これは添付文書の用量通りであればほとんど有効濃度域に入る。


肝障害の投与量

アセトアミノフェンはCOX-1に対する阻害作用が非常に弱く、そのため胃腸障害や腎障害などの副作用が少ない。一方で、肝障害の副作用の恐れがある。
f:id:yashiki5296:20170124030038p:plain
アセトアミノフェンの90%以上がグルクロン酸抱合、硫酸抱合により代謝され、一部はCYP2E1等により代謝され、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)を生成する。通常量ではNAPQIはグルタチオン抱合を受け代謝され、メルカプツール酸やシステインになって排泄される。グルタチオンが不足または枯渇するとNAPQIが蓄積し、肝細胞毒性を示し、肝障害が起こる。

・危険因子
アルコール多飲⇒CYP2E1誘導⇒NAPQI増加
アセトアミノフェン過量服用⇒グルクロン酸や硫酸抱合が飽和⇒CYP2E1経路へ流れる⇒NAPQI増加
低栄養⇒グルタチオン構成アミノ酸グルタミン酸システイングリシン)の不足⇒NAPQI増加
肝疾患⇒グルタチオン不足⇒NAPQI増加
解毒のためにはグルタチオンの前駆体であるアセチルシステインを投与して、細胞内でグルタチオンへ変換され補充する。

成人では、10~15g(150~250mg/kg)のアセトアミノフェンを一度に内服すると肝毒性が起こり、20~25gまたはそれ以上では致命的になる可能性がある。
別の文献では、アセトアミノフェン摂取4時間後の血中濃度が 300μg/mL を越えるとき激しい肝障害を生じるが、120μg/mL 以下ならば生じないとされている。

先ほどのCmaxで検討してみると、血中濃度120μg/mLというのは、体重60kgの人にとっての7680mgとなる。500mg錠でも1度に15錠以上服用しなければ問題ないとされる。

アスピリン喘息

NSAIDsに対する過敏症で、喘息や鼻症状が成人で発症した喘息患者の1割に見られる。鼻茸がある患者に多い。
機序はCOX-1阻害のためアラキドン酸の代謝がLOX経路を介してロイコトリエン(LT)の産生に傾き、LT作用である気道収縮、血管透過性亢進(鼻汁産生)が関与する。
アスピリン喘息既往患者がどうしてもNSAIDsを使用しなければならない場合には、COX-1阻害作用の小さいCOX-2選択的阻害薬かアセトアミノフェンを低用量で用いる。類薬であるためどちらも添付文書上では禁忌になっている。そのままだと疑義が来るので処方箋備考欄に要コメント。

参考文献

・松澤 忍(2008) 患者とくすりがみえる 薬局薬物動態学 南山堂
カロナール錠インタビューフォーム
・浦部晶夫/島田和幸/川合眞一(2016) 今日の治療薬2016 南江堂

患者とくすりがみえる薬局薬物動態学 [ 松澤忍 ]

価格:2,700円
(2017/1/27 07:01時点)
感想(3件)


今日の治療薬2017 [ 浦部 晶夫 ]

価格:4,968円
(2017/1/27 07:03時点)
感想(0件)

鎮痛剤NSAIDsの作用機序と免疫

ふと、鎮痛剤って使用頻度が高いけど、どう効くのか、何を知っておくべきなのかまとめてみました。

ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の作用機序はご存知の通りシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害によるプロスタグランジン(PG)の産生抑制によるもの。

PGの作用⇒NSAIDsの作用機序

①発痛作用
PG自体に発痛作用はないが、視床や大脳皮質の痛覚閾値を低下させる。ブラジキニンの発痛を増強する。

②発熱作用
PGE2は体温調節中枢である視床下部でセットポイントを上昇させる。上昇させるために血管を締めて熱放散を抑制。筋肉収縮にて熱産生を行う。

③催炎症作用
PGE2やPGI2はPG受容体⇒Gsタンパク活性化⇒AC活性化⇒cAMP上昇⇒PKA⇒血管平滑筋弛緩⇒血管拡張⇒血管透過性を亢進して炎症を惹起する。
Gタンパク質共役型受容体のゴロはこちら。yakuzaishikensan.hatenablog.com


①と②は中枢作用、③は末梢作用。
これらPGの産生を阻害することでNSAIDsは鎮痛・解熱・抗炎症作用を示す。

COXの種類

f:id:yashiki5296:20170124022450p:plain
COX選択性がない場合、常時発現しているCOX-1阻害により胃障害・腎障害の副作用が出る。
COX-2選択的阻害薬はそれらの副作用頻度が少なく、長期間服用する必要のある整形外科などでよく使用される。
しかしCOX-2阻害により、血管拡張や抗血小板作用を持つPGI2が産生されず、COX-1は阻害しないため血管収縮や血小板凝集作用を持つTXA2が産生され、心筋梗塞などの心血管イベントリスクが高くなることが報告されている。

NSAIDsは血液脳関門(BBB)を通過し、体温調節中枢である視床下部でのCOX-2によるPGE2産生を抑制して解熱作用を発揮する。炎症で誘導されたCOX-2を阻害するため、平熱には影響しない。

アセトアミノフェンは主に中枢のCOXを阻害するため抗炎症作用はない。COX-1阻害作用は弱く中枢作用のみ。

アスピリン(アセチルサリチル酸)は血小板のCOXをアセチル化⇒TXA2産生を抑制して抗血小板作用を有するが、高用量では血管内皮細胞のCOX阻害⇒PGI2産生まで抑制することで抗血小板作用が減弱してしまう(アスピリンジレンマ)。
アセチル化が不可逆的であり、核がない血小板ではタンパク合成が出来ず寿命が終わるまで阻害作用が続く。他のNSAIDsは可逆的なため抗血小板作用は持たない。

免疫との関わり

自然免疫において、マスト細胞やマクロファージ、樹状細胞が体内をパトロールしているが、細菌や異物などの侵入をToll様受容体で感知すると、炎症サイトカインであるTNFαやIL-1やIL-6を産生する。炎症サイトカインはBBBを通過出来ないため、周辺の細胞膜へ作用し、ホスホリパーゼA2を活性化させ、アラキドン酸カスケードを介してPGE2を産生し、視床下部でのセットポイントを上昇させ発熱を引き起こす。

発熱することで免疫細胞の活性化を図り治癒を促進しているため、迂闊な解熱は治療の妨げになる。



Gタンパク質共役型受容体ゴロとシグナル伝達

薬剤師国家試験でも問われる生物の基礎部分で、かつ薬理や薬物治療にも関係してくるGタンパク質共役型受容体。
しかしどのアゴニストがどのGタンパクと共役してるのかなかなか覚えにくいですよね。ゴロを紹介します。
暗記するだけでは今後の国家試験に対応できないので、その下流のシグナル伝達と生理学までざっくりやりましょう。
イメージによるこじつけの部分もありますがご了承ください…

【Gsタンパク質共役型受容体】

じーさん ベタベタ エッチに アイツ ダイスキ 兄も グル

じーさん=Gsタンパク
ベタベタ=β1受容体、β2受容体
エッチに=H2受容体
アイツ=PGI2受容体
ダイスキ=D1受容体
兄=A2受容体(アデノシン受容体)
グル=グルカゴン受容体

+@Gsタンパク質共役型受容体のシグナル伝達
じーさん⇒が悪いイメージ
=(ACアデニル酸シクラーゼ
Gsのsはstimulate刺激の意味なので、アデニル酸シクラーゼ活性化
シクラーゼはcyclase(環状にする酵素)なのでそれによりATPがcAMP(サイクリック)つまり環状のAMPへ変換されます。
cAMPはPKAを活性化し、PKAが種々のタンパク質をリン酸化。
平滑筋ではミオシン軽鎖キナーゼがリン酸化され、本来のキナーゼ(リン酸化酵素)の役割を果たせず、平滑筋の筋弛緩が起こります。

【Giタンパク質共役型受容体】

あい は まだまだ(MαD×2) がんばるべー

アイ=Giタンパク
まだまだ=M2受容体、α2受容体、D2受容体
がんばるべー=GABAB受容体

+@Giタンパク質共役型受容体のシグナル伝達
Giのiはinhibit(抑制)の意味。アデニル酸シクラーゼを抑制するためGsタンパクのシグナル伝達とは逆の作用を持ちます。

【Gqタンパク質共役型受容体】

アイ マイ ミー ハイ あたい たくじ キュートでしょ

アイ=α1受容体
マイ=M1受容体
ミー=M3受容体
ハイ=H1受容体
あたい=AT1受容体
たくじ=TXA2受容体
キュート=Gqタンパク

+@Gqタンパク質共役型受容体のシグナル伝達
キュート(Gq)なオカマのたくじは、ぷるぷるなくちびる(PLC)ホスホリパーゼCが欲しいイメージ。
PLCはPIP2(ホスファチジルイノシトール2リン酸)を分解します。
f:id:yashiki5296:20170119023908p:plain
図はPIP2を表していて、赤いはさみはPLCが切断する部位です。これによりジアシルグリセロール(DAG)と
イノシトール3リン酸(IP3)へ分解されます。
平滑筋においては、DAGはPKCを活性化させ、筋収縮。
IP3は筋小胞体からCa2+の遊離を促進、Caがカルモジュリンと結合して複合体を形成し、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化し、ミオシンがリン酸化され、ミオシン軽鎖がアクチンをたぐり寄せ、その結果平滑筋の収縮が起こります。


平滑筋の収縮メカニズムについてはyakuzaishikensan.hatenablog.com




眠気のメカニズムとカフェインの作用機序 ノウリアストの作用機序

仕事中や勉強中に眠気に襲われることがありますが、一体どのように眠気がきているのか、調べてみました。
薬剤師国家試験の脳の構造とも関与してきますので、それぞれの部位がどんな働きがあるのか知ると覚えやすくなった記憶があります。

眠気のメカニズム

PGD2(プロスタグランジンD2)

アデノシン産生亢進

GABA神経活性化

ヒスタミン(覚醒作用)の放出抑制


脳実質のオリゴデンドロサイトから産生されたPGD2は、脳脊髄液に分泌され、前脳基底部のクモ膜に作用してアデノシン産生を増加させます。アデノシンは睡眠中枢のアデノシンA2A受容体を介してGABAニューロンを活性化します。抑制性の神経伝達物質であるGABAは覚醒中枢からのヒスタミン放出を抑制して、眠気が起こります。
ちなみに、外傷などで怪我したときにアラキドン酸からプロスタグランジンが産生されますが、風邪などの時に薬を飲んでいないのにボーッとして眠気を感じることがあるのはPGD2によるものだそうです。


・解剖との繋がりは?
覚醒状態では橋に存在する縫線核セロトニン神経系)と青班核ノルアドレナリン神経系)からの覚醒刺激が覚醒中枢である結節乳頭核のヒスタミン作動性神経を活性化しヒスタミンを分泌し覚醒を維持。


睡眠状態になると睡眠中枢である腹側外側視索前野のGABA 作動性神経が結節乳頭核のヒスタミン作動性神経系の働きを抑制して、覚醒状態を睡眠状態へとスイッチ。

カフェインの作用機序

カフェインは睡眠物質であるアデノシンが、アデノシンA2A受容体へ結合するのを阻害してヒスタミンの遊離を抑制し、眠気を抑えます。

ちなみに、中枢への移行性がよいH1受容体拮抗薬は、覚醒作用のあるヒスタミンと拮抗するために眠気が生じます。

イストラデフェリン(ノウリアスト)の作用機序

カフェインと似たような作用機序にイストラデフェリン(商品名ノウリアスト)があります。
アデノシンA2A受容体は、大脳基底核線条体淡蒼球にまたがって存在する中型有棘ニューロン(GABAニューロン)に特異的に発現しています。このニューロンは無意識の運動(不随意)や筋肉の緊張に関係する錐体外路にあります。

このニューロンドパミンやアデノシンによって活性を調節されています。
ドパミンが結合するとニューロンが抑制され、GABA遊離が抑制されます。
アデノシンが結合するとニューロンが興奮し、GABA遊離が促進されます。

パーキンソン病ではドパミンが欠乏しているので、相対的にアデノシンの作用が勝るため中型有棘ニューロンが興奮し、投射先の淡蒼球ではGABAの遊離が促進された状態となり、錐体外路の伝達がGABAにより抑制されて運動症状(動きにくさなど)が出現します。

イストラデフェリンでA2A受容体を阻害すればアデノシンによるGABA遊離を抑制でき、症状を改善できます。
相対的な作用のバランスを改善する作用機序のため、レボドパと併用して、wearing-off時の症状改善に用いられます。
 www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/230124_1169016F1020_1_004_1F