薬剤師の日々研鑽

薬剤師の日々研鑽

医学部へ学士編入した薬剤師が基礎的な内容と薬の関連について書いています。内容に関しては最新の情報を参照ください。

HDAC阻害剤 イストダックス(ロミデプシン)の作用機序

7月3日、セルジーン社の抗悪性腫瘍剤イストダックス®(ロミデプシン)点滴静注用10mgの製造販売承認が下りました。

適応

適応は、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫。

末梢性T細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫の一種で、リンパ球であるT細胞から発生する非ホジキンリンパ腫
月単位で進行する予後不良の難治性疾患。

これまでの治療

一次治療のCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)が用いられているが、治療効果は必ずしも良好ではない。
二次治療以降の標準治療も確立されていないこともあり、治療の選択肢が限られていた。

作用機序

イストダックスは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害することによってヒストンなどの脱アセチル化を阻害する。
この阻害により、がんの細胞周期の停止や細胞死が誘導し、抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。

f:id:yashiki5296:20170721235910p:plain
イストダックス®点滴静注用10mg インタビューフォームより引用

遺伝子がタンパク質として発現するためには、転写・翻訳される必要がある。
転写が進行するためには、転写因子がDNAに結合する必要がある。
DNAと、塩基性タンパク質のヒストンを合わせたものをクロマチンというが、
凝集したクロマチン構造では転写因子がDNAに結合しにくいため遺伝子が発現しにくい。
開いたクロマチン構造では転写因子がDNAに結合しやすいため遺伝子が発現しやすい。

これらのクロマチン構造を変換するのがヒストン脱アセチル化酵素とヒストンアセチル化酵素
ヒストンタンパク質を構成している塩基性アミノ酸のリジンはアミノ基を持ち、生体pHでは正に荷電するが、そこに電子供与性のアセチル基が結合することでヒストンの正電荷が弱まり、酸性のため負に荷電しているDNAと解離しやすくなり、クロマチン構造は緩む。

一瞬!授乳中に使えない薬を調べる方法

患者さんが授乳中とわかったら、処方されている薬が母乳に移行しやすいのか、授乳中に使ってもいいのかを調べる必要が出てきますよね。
バタバタと忙しい時ほど、すぐにわかりやすく調べられることに価値があると思います。

【目次】

じっくり判断することはできるけど…

以前、ロキソニンが授乳中使えるか薬学的に判断しました。考え方はこちらです。
yakuzaishikensan.hatenablog.com


しかし、業務中にじっくりやっている暇はありません。
パッと調べられて、根拠も載っていて、一目でわかる方がいいですね。

すぐに調べるツール

「母乳とくすり ハンドブック2010」 大分県『母乳と薬剤』研究会 編
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf
↑を開いて、「Control」キー+「F}キーを押して、調べたい薬剤名を入れればそのページに行きます。


医薬品添付文書
東京都病院薬剤師会編集編纂の授乳婦と薬サイト⇒授乳婦と薬
国立成育医療センター⇒成育センター
米国小児科学会(AAP)編纂のCommittee on Drugs 2001⇒AAP
G.G.Briggs(Safe Fetus.ComのサイトのDrugs in pregnancy Lactationのコメント)⇒Briggs
Medications and Mothers’Milk,13th(ThomasW.Hale,2008)のDr.Hale's Lactation Risk Category⇒Hale.TW
をまとめた上で大分県『母乳と薬剤』研究会の評価を記載してくれています。


発行年は少し古いですが、日常的に使用頻度の高い薬剤はほぼ網羅しているので問題ありませんでした。

表の見方

f:id:yashiki5296:20170705121057p:plain
「母乳とくすり ハンドブック2010」 大分県『母乳と薬剤』研究会 編

表の見方です。
薬剤の成分名、大分県『母乳と薬剤』研究会の評価、
右に行くと、各情報源の記載が書いてあります。


添付文書では「授乳中止」や「禁授乳」と記載されていますが、大分県『母乳と薬剤』研究会の評価では◎もしくは〇であることがわかります。


多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤
母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさないと考えられる


限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる薬剤
授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない


乳児に有害作用を及ぼす可能性があり、授乳婦へ使用する場合は注意が必要
安全性を示す情報が見当たらず、より安全な薬剤の使用を考慮

×
薬剤の影響がある間は授乳を中止する必要がある(授乳中止の期間はその薬剤の使用量や使用期間によって異なる)
授乳婦で研究されておらず、薬剤の性質上、リスクが解明されるまで回避すべき薬剤

添付文書だけの知識から脱却

製薬会社では、万全を期すために、動物実験であってもわずかでも母乳に移行が認められれば授乳に適さないと判断しているのでしょう。ですが、実際には治療に必要な薬もあるわけで、どれぐらい安全かを判断する能力が求められます。


「あ、添付文書に禁授乳って書いてある。疑義紹介しよう」では本当に苦しんでいる患者さんに必要な薬が使えなくなります。
ましてや専門でない診療科の医師の方々からすれば、薬の専門家の薬剤師が言ってるんだからそうなのだろうと、判断を迷わせてしまいます。

癌疼痛治療剤ヒドロモルフォン ナルラピド錠、ナルサス錠の作用機序

第一三共プロファーマ株式会社より、麻薬性鎮痛剤ヒドロモルフォン塩酸塩の徐放性製剤(ナルサス®)、即放性製剤(ナルラピド®)が販売されました。
ヒドロモルフォン製剤は、海外で80年以上使用されてきた麻薬性鎮痛剤ですが、日本では承認されていませんでした。

【目次】

ヒドロモルフォンの作用機序

ヒドロモルフォンはμオピオイド受容体に高い親和性を示し、鎮痛作用を発揮します。
μ受容体を介して、大脳皮質知覚領域の痛覚閾値を上昇させたり、
脳幹の下行性疼痛抑制系の賦活や、視床及び脊髄後角を抑制するものと考えられています。

f:id:yashiki5296:20170701211810p:plain
ノイロトロピン錠4単位 インタビューフォーム(第7版)より引用

モルヒネと同様の作用機序のため、呼吸抑制消化管運動低下嘔気傾眠の副作用があります。


オピオイドによる便秘には、こちらの薬が併用されるかもしれません。
オピオイド誘発性便秘症治療薬 スインプロイクの作用機序 - 薬剤師の日々研鑽

薬物動態・相互作用

食後投与でCmaxは1.3倍、AUCは1.3倍に増大。


主にグルクロン酸抱合によるヒドロモルフォン-3-グルクロニドへ代謝されるが、その代謝活性はもとの約1/2280と低い。


単回経口投与から投与後48時間までの尿中に、投与量の約3%が未変化体として、投与量の約30%がグルクロン酸抱合体として排泄されています。
バイオアベイラビリティは24%であり、尿中未変化体排泄率は約12.5%。
以上より肝も腎も関与しているため、それぞれの機能障害患者は慎重投与となっています。


相互作用はモルヒネの添付文書の記載とほぼ同じで、ランクは併用注意です。

ナルサスとナルラピドの違い

ナルラピド

rapidのとおり即放性製剤
服用後およそ15~30分で作用発現。そのためレスキューとして用います。
レスキュー:定期的にオピオイドを服用していても痛みが突然出現する場合や、次の内服予定時間より前に疼痛が出現した場合などに、臨時に追加服用するための頓服薬

f:id:yashiki5296:20170701215435p:plain
ナルラピド®錠1、2、4mg 添付文書(第2版)より引用

ナルサス

sustainのとおり徐放性製剤
1日1回投与。服用1時間後ほどで作用が発現。

f:id:yashiki5296:20170701215238p:plain
ナルサス®錠2、6、12、24mg 添付文書(第2版)より引用

半減期から定常状態を予測する 蓄積率を用いたやり方

薬剤師の武器の1つは何と言っても薬物動態ですよね。現場ではあまりゆっくりとPubMedで文献を探す時間もないですし、添付文書から情報を読み取れるに越したことはありません。

【目次】

半減期とは?薬効との関係は?

薬物の血中濃度が半分になるのにかかる時間です。
例えば、静脈注射で最初10ng/mLあったのが、2時間経つと5ng/mLになります。

4時間経つと5ng/mLの半分、2.5ng/mLになります。半減期の2倍経過)
6時間経つと2.5ng/mLの半分、1.25ng/mLになります。半減期の3倍経過)
8時間経つと1.25ng/mLの半分、0.625ng/mLになります。半減期の4倍経過)
10時間経つと0.625ng/mLの半分、0.3125ng/mLになります。半減期の5倍経過)

ここで、10時間後の濃度が、最初の濃度の何割にあたるかを計算すると、
0.3125/10×100=3.125%
となります。
3%程度というと、ほとんど残っておらず、薬効も発揮しないと考えられます。
よって、半減期の4~5倍経過すると薬効はないものと考えることが出来ます。


※注意
全ての薬剤にあてはまるわけではありません。
コニール®(ベニジピン)は分配係数3.79と脂溶性が高いために血管平滑筋の細胞膜に対する親和性が高く、降圧効果は薬物血中濃度と相関することなく長時間持続します。

それぞれの薬剤の作用の特性を見る必要があります。

定常状態とは?

薬を投与した後、薬が代謝されて完全に消失する前に繰り返し投与すると、前の薬がまだ血中に残っているので蓄積していきます。わんこそばの早食いをしてるときなど、まだ残ってるのにおかわりを入れられるのに似ています。
体内に入ってくる速度と、代謝されて消失していく速度が同じになり、最高血中濃度と最低血中濃度の間を往復するようになります。この状態を定常状態といいます。

f:id:yashiki5296:20170629104723p:plain
テオドール錠®100、200mg 添付文書(第18版)より引用

蓄積率とは?どう使う?

繰り返し投与した時の薬物の血中濃度Cnは、最初の血中濃度C0の定数倍に近づいていきます。
Cn=R×C0


その定数Rを蓄積率といい、
蓄積率=1/(1-e^{-Ke・τ}
Ke:消失速度定数
τ:投与間隔

このままでは現場では使いにくい形です。
ここで、半減期=0.693/Keでもあるので、蓄積率は、半減期と投与間隔だけで求まります。

f:id:yashiki5296:20160207045622p:plain

半減期と投与間隔で計算した表です。
例えば、半減期24時間で、1日1回投与=投与間隔24時間の薬剤は、蓄積率が2なので、定常状態に達し、その濃度は最初の最高血中濃度の2倍になることがこの表からわかります。

同じく半減期24時間で、1日2回投与=投与間隔12時間にすると、蓄積率3.4なので、定常状態の血中濃度は3.4倍ということがわかります。

一方で、半減期6時間で、1日1回投与=投与間隔24時間にすると、蓄積率1で、定常状態にならず、初回の血中濃度と変わりません。

こちらの記事で、ロキソニンを実際に計算しています。
yakuzaishikensan.hatenablog.com



これまでの知識をまとめると、
半減期の4~5倍でほとんど血中から薬物が消失すること
・完全に消失する前に繰り返し投与すると蓄積すること

これらから、半減期の4倍より投与間隔が短いならば定常状態に達する」ということが導けます。
半減期×4>投与間隔
変形すると、4>投与間隔/半減期

要注意!!蓄積率は1-コンパートメントモデルに従う薬物にしか使えない!!

残念ながら、上記の考え方は1-コンパートメントモデルで説明できる薬物にしか使えません。
f:id:yashiki5296:20170629124538p:plain
1-コンパートメントモデル:循環血液中の薬と、臓器や組織中の薬が速やかに濃度平衡に達する場合
2-コンパートメントモデル:薬が循環血液中から臓器や組織への分布が完了するまでに時間がかかる場合(分布相がある)

それらの見分け方を次で紹介します。

グラフを見る!

f:id:yashiki5296:20170629124538p:plain

f:id:yashiki5296:20170629134343p:plain
アシノン錠®75、150mg インタビューフォームより引用

片対数グラフでおおよその見当をつけられます。1-コンパートメントモデルに従う薬剤は、ほぼ1本の線に乗ります(アシノン)。
2-コンパートメントモデルに従う薬剤は、途中で折れ曲がるため直線に乗らない部分が出てきます。

おすすめの書籍

実際に薬局で使える事例が紹介されていることと、大学での薬物動態学をわかりやすく解説してくれている本です。

オピオイド誘発性便秘症治療薬 スインプロイクの作用機序 

2017年3月30日、塩野義のオピオイド誘発性便秘症治療薬スインプロイク(ナルデメジントシル酸塩)が承認されました。
1日1回の内服薬です。

オピオイド誘発性便秘症とは?

癌性疼痛の緩和に用いられているオピオイドの鎮痛作用は、主に中枢のμオピオイド受容体を介して発現します。
しかし、消化管に存在する末梢のμオピオイド受容体へも作用してしまい、
・消化管運動の抑制
・消化管神経活動の抑制(サブスタンスPやアセチルコリン放出の抑制)
・イオンや腸液分泌の減少
また、長時間大腸で留まる一方で、水分吸収は進むために便が固くなります。

オピオイドによる固形便や排便障害,膨満感,腹痛等を伴う便秘が頻発するのでQOLの低下にも繋がっていました。

これまではどう治療していた?

便を軟らかくしたり、腸の蠕動運動を亢進させる治療がされていました。

・浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース)
・大腸刺激性下剤(センノシド、ピコスルファートナトリウム)

これまでの治療薬の問題点

酸化マグネシウム⇒吸収されることによる電解質異常(高マグネシウム血症)
大腸刺激性下剤⇒大腸が刺激に慣れるため、長期連用による耐性化および習慣化
腹部膨満感

スインプロイク(ナルデメジン)の作用機序

消化管の末梢μオピオイド受容体に結合してオピオイド鎮痛薬と拮抗することで、オピオイドによる便秘を改善します。
脂溶性をできる限り下げ、分子量を500以上にして血液脳関門の透過性を低下させているため、中枢μオピオイド受容体の作用は阻害しないようです。

f:id:yashiki5296:20170628114241p:plain
スインプロイク錠 添付文書より引用

副作用

224例中67例(29.9%)で主な副作用は
下痢(21.9%)、腹痛(2.2%)。

消化管閉塞、その疑いや既往歴がある患者には消化管穿孔の危険性が高まる恐れがあるため、投与しない。
また、オピオイドの投与を中止する場合には、本薬の投与も中止。

スインプロイクの特徴

食後でも吸収量は変わらないが、吸収時間が遅延

f:id:yashiki5296:20170628115949p:plain

反復投与では2日以内に定常状態に達します。
半減期はおよそ10時間。半減期を4~5倍すると定常状態に入るといわれているのでそれに従うようです。

排泄は肝・腎にあまり影響されない

[Carbonyl-14C]-ナルデメジン及び [oxadiazole-14C]-ナルデメジン 2mg をそれぞれ健康成人男性 6 例に空腹時単回経口投与したとき,[oxadiazole-14C]-ナルデメジン投与では投与された放射能の 57.3%及び 34.8%がそれぞれ尿及び糞中に排泄され,[carbonyl-14C]-ナルデメジン投与では投与された放射能の 20.4%及び 64.3%がそれぞれ尿及び糞中に排泄された。投与量の約20%が尿中に未変化体として排泄された。

バイオアベイラビリティはおよそ30%なので、
尿中未変化体排泄率=0.2/0.3≒0.67
腎排泄型寄りなのか?

ただ、バイオアベイラビリティがヒトのデータがなく、ラットの参考データを用いたので不正確です。(ラットとは消化管の長さ、消化管や肝臓に発現している代謝酵素の割合も異なるため)


Carbonylとかoxadiazoleで2種類で放射線標識しているのは、

f:id:yashiki5296:20170628203909p:plain

代謝される際に結合が切られて構造が分かれるので、切れた構造を2つとも追跡するためのようです。

ラットデータからの計算では腎排泄寄りかと思われましたが、
実際に肝障害・腎障害患者でのデータを見ると、いずれの患者でも大きく排泄が障害されている様子はありませんでした。

f:id:yashiki5296:20170628125043p:plain
f:id:yashiki5296:20170628130401p:plain

添付文書の用量の項目にも、肝障害・腎障害についての記載もありません。

参考文献

オピオイドによる副作用と対策-消化器系の副作用と対策 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010
ガイドライン|日本緩和医療学会 - Japanese Society for Palliative Medicine

・スインプロイク錠 インタビューフォーム
https://www.shionogi.co.jp/med/download.php?h=db3b979b1815b63a8f057071a043669f

ADHD治療薬  インチュニブの作用機序

2017年3月30日に塩野義とシャイアー・ジャパンから、小児の注意欠陥・多動性障害治療薬としてインチュニブ錠(グアンファシン塩酸塩)が承認されました。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは?

原因

不明ですが、前頭前皮質の機能異常と考えられています。

症状

「不注意」集中できずに気が散ってしまう
「多動性」じっとできず動いてしまう
「衝動性」やりたいことをすぐに行動に移してしまう

これまでの治療薬

コンサータメチルフェニデート
中枢刺激薬で、ドパミン及びノルアドレナリントランスポーターの再取り込みを抑制することで、
シナプス間隙のドパミン及びノルアドレナリン量を増加させて神経系の機能を亢進するものと考えられています。


ストラテラ(アトモキセチン)
ノルアドレナリントランスポーターの再取り込みの抑制作用が関係していると考えられています。


成分のグアンファシンは降圧薬として使われていた!

商品名エスタリックとして、0.5mg錠で使用されていました。即放性製剤。
作用機序は、延髄の血管運動中枢のα2受容体を刺激し、
ノルアドレナリンの遊離を抑制して交感神経興奮伝達を抑制する。

α2受容体についてはこちらの記事で解説しています。
yakuzaishikensan.hatenablog.com


インチュニブの作用機序

f:id:yashiki5296:20170627223331p:plain
インチュニブ錠 インタビューフォームより引用

インチュニブは選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬です。1mg、3mg錠が販売されています。
徐放性の非中枢刺激薬。ADHD患者の前頭前皮質において、後シナプスのα2A受容体の活性が低いことが報告されているため、
選択的に刺激することで、減弱しているシグナル伝達を増強させる可能性が示唆されています。

ほかのADHD治療薬と異なり、前シナプスからのドパミンノルアドレナリン
の遊離促進あるいは再取り込みを阻害する作用はないようです。

副作用

承認時の試験では、254例中190例(74.8%)。
傾眠146例(57.5%)
血圧低下39例(15.4%)←降圧薬としての過剰薬効
頭痛31例(12.2%)

特徴

服用自時点の指定はないものの、食後服用では吸収率が上がる。1.2~1.4倍。

f:id:yashiki5296:20170627225013p:plain

徐脈・血圧低下に注意

α2受容体刺激→ノルアドレナリン遊離抑制→血圧低下・心拍低下

代謝酵素はCYP3A4、CYP3A5

CYP3A阻害剤との併用で血中濃度上昇
ケトコナゾール併用でCmaxは約1.75 倍、AUCは約 2.79~3.13倍に増加。
マクロライド系抗菌薬(~ロマイシン)
・アゾール系抗真菌薬(~アゾール)
・プロテアーゼ阻害薬(~ナビル)



CYP3A誘導剤との併用で血中濃度低下
リファンピシン併用でCmaxは約 54%減少、AUCは約63~69%減少。

代謝・腎排泄のハイブリッド

f:id:yashiki5296:20170627225923p:plain

代謝か腎排泄かの判断は、こちらの記事で解説してます。
yakuzaishikensan.hatenablog.com

12歳未満 コデイン製剤禁忌へ

2019年より、コデインは12歳未満の小児へ投与禁忌となるようです。

【目次】

禁忌となった背景

アメリカでのコデインによる呼吸抑制などのモルヒネ関連中毒死亡例の9割が12歳未満であったため、アメリカ食品医薬品局FDA)が今年の4月に禁忌に設定したことを受けてのもの。

コデインの作用機序・代謝

モルヒネと類似構造を有し、オピオイド受容体に結合する。
鎮痛作用はモルヒネの約 1/6、
精神機能抑制作用、催眠作用及び呼吸抑制作用は約1/4
主にμ受容体に作用し、延髄の咳中枢に直接作用して咳反射を抑制することにより咳を鎮める。


コデインの大半が肝臓でグルクロン酸抱合を受け、およそ10%がCYP2D6によってモルヒネ代謝される。

f:id:yashiki5296:20170626194553p:plain
リン酸コデイン錠5mg 「ファイザー」 インタビューフォームより引用

CYP2D6の遺伝子多型

f:id:yashiki5296:20170626201958p:plain
個別化医療実現のための医薬品開発 2008年1月 医薬出版センター発行 より引用
http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/publishing_center/pdf/007.pdf

EM: ExtensiveMetabolizer 通常代謝
IM: Intermediate Metabolizer やや活性の低下した中間代謝
PM: Poor Metabolizer 酵素活性は完全に消失している低代謝
UM:Ultrarapid metabolizer 活性の高い変異型

CYP2D6活性が過剰な場合、モルヒネへの変換量が多く、呼吸抑制リスクが高まる。
日本人の場合、活性が過剰なUMはほとんど見られない。

日本での死亡症例もないみたいですが、安全のためということでしょう。
フスコデシロップとか錠剤とかメーカーも卸の方も在庫はいっぱいあるでしょうから、2018年は移行期間ということです。